長根英樹 ネットクラブ
皇位継承と和の心
― 万世一系と君民共治 ―
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No.80 文化論としての皇位継承論議を 長根 英樹 さん 
    2006.03.17 10:33:37 返信

 
現在までのところ、皇位継承をめぐる議論は、「継承方法」に関する
テクニカルな議論が中心となり、伝統の理由と意味に関する文化的な
観点からの議論が少なかった様に見受けます。
例えば、「女性天皇と女系天皇の違い」「Y染色体、血筋、血統」
「男は種、女は畑」「男系か女系か」「男系か直系か」などといった
議論です。

世界最古といわれる我が国皇室の歴史と伝統。
なぜこんなにも長く続いてきたのか、その「永続性」と万世一系の
継承方法との関連について。
こうした点が分からなければ、伝統のルールの「どこをどう変えて
よいのか」「変えることによる永続性への影響」などが分からずに、
本来、皇室の継続を前提とした意義のある議論や世論調査などは
出来ないものと思います。
女性天皇と女系天皇の違いを表面的に説明しただけでは、この伝統、
永続性の説明にはなりませんし、伝統、永続性の理由と意味は理解
できません。

そもそも、皇位継承方法は、天皇の天皇たる所以を定める法であり、
天皇のあり方に直結する問題となります。
天皇は、日本の国の歴史と伝統、文化を背景として、国民統合の象徴
となる存在ですから、天皇のあり方に関わる皇位継承問題は、日本の
国のあり方の根幹に関わる問題であると思います。

今あらためて、皇位継承の伝統の理由と文化的な意味について、
天皇陛下と日本について、文化論としての議論が重要になるものと
思います。

               ◇

天皇のあり方、皇位継承と日本の文化、価値観、和の心とは、密接に
関連し、相互に影響を与え合う形で成熟してきたものと思います。
現在においても同様に、国のあり方、国の文化、社会の価値観、道徳
や恥の意識、常識、戒めなど和の心と天皇、皇位継承のあり方とは
切り離せない関係にあるものと思います。
それ故に、将来の日本のあり方を左右する問題として皇位継承問題は
位置づけられ、多くの関心、静かなる注目を集めているものと思い
ます。

文化論として皇位継承のあり方を見るとき、「皇位の由来」に着目
することが有効と考えます。

女性・女系天皇容認論は、欧州王室と同じく、親子相続が自然という
直系優先の継承方法への変更となります。
これは、時の天皇に皇位の由来を求めるあり方となります。
天皇に子や孫が無く傍系に移る際にも、親等の近い範囲での継承と
なります。
現在の風潮、取ったもの勝ち、やったもの勝ち、既得権はとことん
利用するといった社会のあり方に通じる改変になるものと思います。

これに対して、伝統的な万世一系による継承方法は、皇位の由来を
時の天皇に求めることなく、初代神武天皇と先祖伝来の積み重ねの
重さに求める継承方法となります。
天皇に子がいても、その子が神武天皇からの系統を引き継ぎ、その
系統を次世代に繋げ、残すことの出来ない場合(女子である場合)
は、同じ系統を引き継ぐ傍系の男子に皇位が移行します。
このため、時に大きく親等が離れた遠縁の傍系に皇位が移行する
場合があります。
こうした継承が成立する背景には、皇位の由来を時の天皇にではく、
神武天皇からの繋がりという形で、長期視点で捉えていることが
上げられ、こうした原点回帰により天皇、皇室と国民との関係性が
強化、再構築されてきました。
直系女子を越えた傍系男子への移行のダイナミズムが、皇族間の
互助、相乗性を高めると共に、皇室、皇位継承の永続性の鍵に
なっていたものと理解することが出来ます。

皇位の由来を時の天皇個人に求めることなく、初代、先祖伝来の
積み重ねの重さに求める考え方は、仁、無私の心、互助の文化を
成熟させ、君民共に「世代を預かる」という謙虚な姿勢、文化を
醸成していったものと思います。
人と人との繋がりを大切にする文化、自然との親和性の強さ、
こうしたものが基調となって和の心、和の価値観は育まれてきた
ものと思います。

天皇、皇室のあり方と共に育まれ、成熟してきた日本の伝統、文化。
この大切な蓄積、資産を、これからの時代にどう活かしていくか。
こうした観点から、文化論として皇位継承、天皇のあり方、天皇陛下
と日本に関する議論を深めていきたいものです。

               ◇

ご参考 オンライン出版
「皇位継承と和の心 ― 天皇の子が天皇とならない理由」
http://nagane.kimono.gr.jp/hideki/mess/book001/
  はじめに
  序章   皇位継承の伝統と和の心――天皇陛下と日本
  第一章  和の国、和の心――天皇陛下と日本
  第二章  系統継承と直系継承――王位・皇位の世襲分類
  第三章  系統継承における女性天皇の存在
  第4章  帝王学――日々の心構えとその積み重ねの尊さ、廃太子による牽制
  第五章  天皇、憲法、政治――今後の皇室、天皇と国民、国会、内閣との関係
  第六章  陛下のお言葉をよく噛みしめて
  第七章  参考――和の心
  あとがき

   


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