長根英樹 メッセージ
 ― 論文&マスメディア掲載 ― 

小沢一郎政治塾3月・4月課題「私の街興し」
 

小沢一郎政治塾 3月・4月課題                    長根英樹

私の街興し                            2001.04.25
「米沢・置賜地域における情報化推進策 ―地域創造力&活力向上を目指して」


■はじめに

 私は、岩手県で生まれ育ち高校卒業までを過ごし、その後、30歳までの12年間、
 首都圏で大学生生活、会社員生活を送りました。
 今は、山形県にてあらためて地方都市での暮らしをしています。

 東京、首都圏と地方都市の関係を捉えるとき、地方都市の大きな課題として、人材の
 流出が検討テーマになるものと考えます。
 学生が、多様で専門的な学問や技術を求めて、地域を越えてそれぞれふさわしい所に
 自己研鑽の場を求めるのは自然な流れと考えます。
 しかし、その研鑽を踏まえて実践を行う場を郷里で見出すこと、起こすことが出来ず、
 専門性を活かし自己実現を図るために東京、首都圏に生活の場を求めるという傾向が
 あり、人材流出、地域創造力/活力の低下に繋がっている点を認識する必要があると
 考えます。
 そしてこれを深刻に受けとめ、自己実現環境における地域格差を是正する取り組みが
 重要になるものと考えます。

 一義的には、国政レベルでの対応施策として、各種規制のあり方等を抜本的に見直し、
 中央でなければ物事の大枠が定まらない様な硬直した構造を変革していくことが重要
 と考えます。
 一方で、地方の地域独自でも格差を是正していける余地があるものと考えます。
 特に、近年の情報技術の発展によりその可能性は大きく高まったものと捉えます。
 情報化推進による創造環境の向上、ビジネスの新規創業/活性化、趣味生活の楽しみ
 向上、交流圏が広がり現状の行政区分を越えた住民の連携が生まれ、地域文化の融合、
 再構築、広域合併の基礎が出来る等々。
 この様に、地方地域でも情報化の推進によりクリエイティブな自己実現がし易くなる
 創造環境の向上を図り、地域の優秀な人材が活躍し地域を豊かに発展させていく基盤
 を作っていくことが重要と考えます。

 地域の情報化を推進し創造環境の向上を図るに際して、第3セクター方式のケーブル
 テレビ会社がある地域においては、行政とケーブルテレビ会社が連携して果たすべき
 役割は非常に大きいものと考えます。

 私はこうした観点から、以前より地元米沢市、郷里水沢市の両ケーブルテレビ会社、
 米沢市の行政担当、情報論の大学教授等に話を聞いたり連携を取りあって来ました。
 今回、「私の街興し」という課題を受け、あらためてリアリング調査を行うと共に、
 過去の蓄積も踏まえて分析し提言の方向をまとめたいと思います。


                ◇

■調査

 米沢市役所
  産業部商工観光課課長
          工業労政係長
          工業労政係主任

 株式会社ニューメディア(地元ケーブルテレビ会社)
  取締役技術部長
  技術部係長

 早稲田大学
  教育部教授(情報論、米沢市出身)

 <参考>
 水沢テレビ株式会社(郷里のケーブルテレビ会社)
  代表取締役社長
  制作・技術部長


                ◇


■分析

 【行政:米沢市役所】
  主に一つのセクションからのヒアリングですが、情報化推進、地域創造力/活力の
  向上に関して、他部署との連携、総合的な取り組み体制に弱い面が見られました。

  例えば、米沢市の重点施策の中には、情報化推進がその成否や目的達成度に関わる
  大きな鍵を握ると見られる取り組みが、各部署をまたがり多く見られます。

   ◇産業部商工観光課
    ・米沢市新産業・しごと創り協議会(愛称:ベンチャーランド米沢)
      異業種交流、産学官等の交流の中から、地域における新たなビジネス創造
      の環境づくりと気運醸成を目指したインキュベーション組織。
      参加資格は、市内事業者、または個人に限り、年会費3万円。
      現在、企業経営陣クラスの参加が主で、会員は40名(組)ほど。
      月1回の会合も出席率が高くなく、またインターネット活用等による日常
      的な交流の仕組みも機能していない。
      本来、インキュベーション、交流創造には、多種多様な交流促進による、
      ゆらぎや混沌といった環境が重要で、少人数の属性の近いメンバーだけで
      継続的な創造を産み出していくことは難しい。
      隣接市町とも連携をし情報化を推進、インターネットを活用することで、
      個人レベルでの自由な参加を促し、現在のビジネスに限らず、趣味や生活
      文化面も含めた幅広い交流環境を整備する。
      これにより、自然発生的な交流、グルーピングを促進して、地域の新たな
      ビジネスを創造し、生活文化の豊かさの質を高めていく方向が期待される。

   ◇産業部商工観光課
   ◇企画調整部記念事業課
    ・上杉鷹山生誕250年祭
      本年秋の山形県、米沢市の合築による新しい文化施設のオープンと合わせ、
      地域の偉人上杉鷹山公をテーマとした周年イベントが開催される。
      市民(個人、企業、グループ等)の情報発信意欲、交流意欲は高まりつつ
      あり、行政として情報発信/交流をサポートすることにより、市民自らが
      積極的に広報を行い、またイベントの主役として地域内外の人々と交流を
      行い、楽しみや理解を深め、一過性のものとしてではなく、継続的な形で
      創造や文化を高めていく形で事業をナビゲートしていく方向が期待される。

   ◇産業部オフィス・アルカディア推進課
    ・米沢オフィス・アルカディア(産業用地分譲、企業誘致)
      オフィス(事務所・営業所・研究所等)系の産業業務用地の分譲、企業の
      誘致を図り、地域産業の活性化、雇用の促進を目指すもの。
      昨年春から分譲が始まっているが、現在の販売実績は1区画のみ。
      日本全体の経済環境が厳しい状況とはいえ、やはり分譲誘致戦略の再構築
      が必要となる。
      米沢市には、既に工場を中心とした八幡原中核工業団地が整備され、ほぼ
      完売されていることから、米沢オフィス・アルカディアの方は、ソフト/
      ナレッジ型の産業発展の核として期待が寄せられている。
      これからのソフト/ナレッジ型産業の大きな柱として、情報産業、中でも
      “情報の活用”をテーマとした産業の発展、広がりが予見される。
      米沢を含む隣接の2市2町は、第3セクターのケーブルテレビ会社が情報
      回線を張り巡らせている情報インフラ整備が進んだ地域であり、今後更に
      加入率を高めれば、高速ネットワークで繋がれた広域商圏となり得る。
      こうなると、各種のサービス研究、テストを行う「テストエリア」として
      の有効性も高まり、分譲、誘致促進に繋がる。
      また、ビジネスフロンティアの一つの方向性、ビジョンを示すことにより、
      地域内から新たな創造を産み出す可能性を広げ、内発型のチャレンジ息吹
      や活力を高めることにも繋がる。
      ここでも情報化推進の方向性が期待される。

   ◇企画調整部企画調整課
    ・米沢女子短期大学の4年制大学化、山形大学工学部の機能拡充強化
      米沢市では、米沢商工会議所、民間団体等との共同により、学園都市推進
      協議会を設立し、学園都市にふさわしいまちづくり推進を図ってきた。
      特に、米沢女子短期大学の4年制大学化と山形大学工学部の機能拡充強化
      を目指している。
      短大の4年制大学化に向けては、地域としてどの様な社会的役割を期待す
      ものかを明確にして、市民意識を高め、意義を訴えていく必要がある。
      地域の創造力/活力向上を目指し、新たな時代の情報活用のあり方を学び、
      研究する場として、地域情報環境の整備と共に、「情報リテラシー教育」
      を中心に据えた位置づけの構築が期待される。

  この他、第3セクターである地域のケーブルテレビ会社には、出資金と共に補助金
  という形で税金が投入されていますが、この支出効果を高めていくという視点で、
  各部署が施策推進の立場から会社の事業運営のあり方を検討したり、連携を図って
  いくとの積極的な動き、あるいは当事者意識というものは感じられませんでした。

  以上の様に、情報化推進、情報活用を大きな柱に据えることで地域創造力/活力の
  向上が期待される諸施策が、各部署にまたがって存在する点、またそれらの連携、
  相互相乗の推進体制が弱い現状が見られます。

  現状で掲げる具体的諸施策推進のためにも、また、今市民を挙げて取り組んでいる
  大周年イベント後の大きな課題となる広域合併に向けた取り組みという意味でも、
  各部署、各施策の上位に位置する戦略的政策として、政治主導で地域情報化の整備
  推進を掲げることが重要と考えます。
  また、実際に政治主導で施策を進めていくための実施体制を整備構築する意味で、
  部署横断の委員会などプロジェクトを組み、統合的に取り組む体制をつくることが
  重要と考えます。



 【ケーブルテレビ会社:株式会社ニューメディア(参考:水沢テレビ株式会社)】
  地方都市における地域の情報化推進、創造力/活力向上という意味から、ケーブル
  テレビ会社は大きな役割と可能性があるものと考えます。
  他の回線会社(NTTや電力会社など)と比べても、既に自社独自メディアを持ち、
  地域の情報ネットワーク基盤を持つという意味で、決定的な優位状況にあるものと
  捉えます。
  今後、情報化がアクセス環境競争(いかに速く、いかに安く、常時、安定的な接続)
  から情報活用へと進展し、“情報を使って何が出来るか、いかにビジネス、生活、
  文化の各面で豊かさを高められるか”という段階に入った際には、既存の地域情報
  ネットワーク基盤による、情報交流のサポート、ナビゲート機能が活かされ、地域
  の情報が集積し新たなものが産み出されていく拠点、すなわち「情報ハブ」として
  一層役割が増すものと考えます。

  一方、その潜在的可能性の高さとは裏腹に、地方都市においてケーブルテレビ会社
  は、ほぼ地域独占の状況にあり、ビジネスにおける競争意識が非常にゆるやかな面
  が見受けられます。
  これは、情報化(インターネット接続)サービスにおけるソフトの面において顕著
  で、例えば株式会社ニューメディアでは以下の様なサービス状況になっています。
    ・メールアカウント1個
    ・ホームページ開設領域5MB
    ・ホームページ簡易作成サポートシステムなし

  現在の標準的なインターネット接続サービス会社(プロバイダー)では、情報活用
  に向けたソフト面のサービスが重視され、充実度も高いものとなっています。
  ケーブルテレビ会社は、サービスにおける回線/ハード面の優位性から、一般的に
  競合プロバイダーに比べてソフト面が弱い傾向があり、殊更地方都市においては、
  ダイヤルアップ(アクセスポイント)の競合も少ないことから、その傾向が顕著に
  なっています。

  上記、株式会社ニューメディアのソフトサービスは、5、6年前のインターネット
  黎明初期における標準的サービス水準であり、他にもインターネット接続単独での
  加入契約が出来ずに、テレビ契約とセットでしか加入できないなど、地域の情報化
  推進に向けての自覚、役割認識と市民の期待との間にギャップが感じられます。
  
  株式会社ニューメディアは、米沢市を含めた隣接2市2町からなる第3セクターで、
  出資金の他に年度補助金という形で税金を用いて運営がなされています。
  これに対して、地域住民の視点を組み込む制度として「番組審査会」があります。
  かつて、ケーブルテレビ会社の事業が、テレビ番組の配信を主としていた状況から
  “番組審査”という形でのモニタリングがなされていたものと思いますが、現在は、
  テレビ配信以外に情報サービスという意味で事業領域が広がり、その役割、期待も
  大きくなっていることを踏まえると、“番組審査”という枠を越えた「地域情報化
  審査会」などという形で、地域の情報化に取り組むあり方を住民参加で方向付け、
  検証していく仕組みの整備が重要になるものと考えます。

  また、従来のテレビ事業中心の体制、マインドが残っている状況は、社内における
  テレビ部門とインターネット部門の連携の弱さ、双方の意義・役割と会社としての
  方向性を示す統合戦略の未確立という面でも見受けられます。

  今後、テレビ配信、番組製作とインターネットによる情報化推進を、相互の連動性、
  相乗を図りつつ進めていく意味で、会社におけるテレビ部門とインターネット部門
  の連携体制の整備、統合する情報化戦略の再構築が重要になるものと考えます。



 【学者:早稲田大学 情報論教授】
  地元米沢市出身、情報論の教授とは、共に縁ある地域の発展を願う立場から、
  情報化推進による地域の創造力/活力の向上について話し合い、連携を進めている
  ところです。

   ◇情報技術の進展による情報化の推進は、地方都市に大きなチャンスをもたらし、
    地域発展の可能性を高める点。
   ◇今後は、情報の活用、“情報を使って何が出来るか、いかにビジネス、生活、
    文化の各面で豊かさを高められるか”が問われる段階となり、多様な双方向の
    コミュニケーション、交流を産み出し発展させる仕組み、ナビゲートが重要と
    なる点。
   ◇また最終的に鍵を握るのは、活用する側の「情報リテラシー」となり、今後は、
    この情報リテラシー向上に向けたサポート、施策が重要となる点。
   ◇地方都市の情報化推進において、また米沢・置賜地域においても、行政と共に
    地元のケーブルテレビ会社の役割と可能性は大きい点。

  以上の点が確認されました。

  ここで、「情報リテラシー」とは、情報をうまく収集咀嚼し、情報を的確に発信し、
  また相互のコミュニケーションを通じて情報価値を高め、創造を行っていく能力の
  ことを言います。

   ◇情報を受け取る力
    ・情報の的確な検索収集能力の他に、情報の真偽や意図的な誘導表現を見抜く
     力(メディアリテラシー)。
    ・情報を分析整理して体系化する力。

   ◇情報を発信する力
    ・自分自身の考えや気持ちを分かりやすく伝える力。
    ・双方向テレビやホームページを通じてプレゼントに応募したり、意見を投稿
     したりする能力。
    ・電子メールでコミュニケーションをする能力。
    ・ワープロを使い文書としてまとめる能力。
    ・ホームページを作り情報発信をする能力。
    ・これらを効果的に行うため、文字情報の他に画像や音声等を用いて表現する
     基礎的な能力など。

   ◇情報の受発信を通じて他者と交流し創造する力
    ・先の能力を踏まえて、他者と交流して相互刺激の中から共感を深め、新たな
     ものを創造していく力。
    ・他者や集団でのコミュニケーションにおいて、いかに関係づくりを行うか。
     思いやりや心くばり、個人の自由とコミュニティ内での義務制限のバランス
     を心得て交流する能力。
    ・こうした交流を通じて、価値を創造する能力。

  この情報リテラシーを地域全体で高めていき、多様な交流、相互刺激の中から各種
  の創造を産み出していくことが、地域の活性化、発展に繋がる方向との共通認識を
  得たところです。


                ◇


■提言 【米沢市、株式会社ニューメディア】

 米沢・置賜地域において情報化を推進し、地域の創造力/活力を向上させて街興しを
 図っていくに当たっては、行政を担う米沢市と第3セクターのケーブルテレビ会社で
 ある株式会社ニューメディアが、それぞれの役割、立場を踏まえて連携を図りつつ、
 一体となって取り組みを進めていくことが重要と考えます。

 まず市として、部署の枠を越えて米沢市、置賜地域の将来ビジョンを構想し、全体と
 しての情報化戦略を方向付ける必要があると考えます。
 また、この戦略を検討立案し実際に実行していく母体として、各部署からなる情報化
 戦略委員会(仮称IT委員会)といったものを設立する必要があると考えます。

 またこのIT委員会には、役所外の関係者、有識者の参加も求め、実際に集まっての
 直接会合の他に、インターネットのコミュニケーションシステムを活用して日常的な
 連絡や意見交換をスムーズに行える体制を組むことが重要と考えます。
  IT委員会の構成としては、
    ・市長が委員長に
    ・市役所各部署
    ・株式会社ニューメディア(テレビ番組部門+インターネット部門)
    ・学識専門家(山形大学工学部、米沢女子短期大学、早稲田大学情報論教授他)
    ・IT関連企業
    ・市民有識者(IT先進活用者等)
    ・その他
 以上の様なメンバー構成で、ある程度間口を広くし多様な意見集約する体制を作り、
 同時に第3セクターである株式会社ニューメディアの事業適正化を、行政・市民代表・
 会社の共同連動の下に探っていく役割を持たせることが重要と考えます。


 この他に、地域住民が自由な立場で参加をするインターネット交流の場として、地域
 インターネットコミュニティを構築/提案し、地域や年齢、職業などの違いを越えて
 相互に多様な自己発信、交流を図りつつ、実体験を通して地域全体の情報リテラシー
 を高めていく核とすることが重要と考えます。

 このインターネットコミュニティには、空欄入力方式の非常に基礎的なパソコン操作
 で、自分のホームページを自由に制作修正の出来る仕組みを用意することで、今秋の
 上杉鷹山生誕250年祭メインイベントに向けた市民の情報発信意欲を自ら形にする
 手段を提供し、また市民自らが参加意識を持ってイベントに取り組める様に誘導する
 ことが重要と考えます。

 この地域インターネットコミュニティホームページは、一般公開し地域住民以外でも
 アクセス出来る様にすることで、市民や企業、グループ等“私的な個”のレベルでの
 地域内外、観光客も含めた多彩な交流を産み、イベント終了後も継続的な交流が出て
 来ることが期待されます。


 これらの交流を通じて、市民自らが地域文化の発信、創造の担い手である自覚を意識
 しつつ、モチベーション、やりがいを持って情報活用や新たな創造に取り組んでいく
 ムーブメントが起こっていくものと考えます。

 これにより、今年の周年イベントが単発的なものに終わることなく、住民がそれぞれ
 の視点で地域文化を見つめ直し、自分の言葉、自分のやり方で発信交流し、そこから
 また新たなものを産み出していくという、「新地域創造」ムーブメントのきっかけと
 なる新世紀イベントとして価値をもつこととなるでしょう。


 この地域インターネットコミュニティは、米沢・置賜地域の住民に加え、この地域に
 興味を持つ全国の人々がアクセスをする場となりますので、地域の生活や風習、趣味、
 産業、文化など、自由に幅広い視点でコミュニケーション、交流を図る中で、新たな
 発見や創造を生んでいく可能性があります。
 こうした創造の中から、新たなビジネスや産業の起こってくることが期待されます。

 新たなビジネスのヒントは、ビジネス交流の場だけから生まれるものではなく、生活
 や趣味、文化といった人々の暮らしの中から生まれてくることも多く、また何よりも
 インキュベーションの大きな鍵は、多様さとある種のゆらぎ、混沌といえます。
 大人数のメンバーによる多様な交流の中から、自己発生的な形で個別の動きやグルー
 ピングが生まれてくる環境整備こそが重要になるものと考えます。


 今後、地域インターネットコミュニティページを核に、地域の情報化を推進し、地域
 住民の情報リテラシーを高め、地域創造力/活力向上を図っていくためには、地域に
 おけるインターネット利用者数を増やしていく必要があります。
 このためには、行政と株式会社ニューメディアとの連携によって、株式会社ニューメ
 ディアを中心としたインターネット接続サービスへの加入を促進していく施策が重要
 となります。

 元来、地域情報化の意義と、その推進における地域ケーブルテレビ会社の果たす役割
 の大きさを認識し、これを積極的に推し進めるために政治行政の立場で税金を投入し、
 第3セクター方式で運営をしている経緯がありますから、これを再度地域住民に訴え、
 加入を呼びかけていくことは、行政と株式会社ニューメディア双方の責務であるもの
 と考えます。

 また、加入に興味を持ち、検討している人々が、よりスムーズに加入出来る様に条件
 を整えていくことも重要であり、これも先述のIT委員会における株式会社ニューメ
 ディアの事業適正化検討の大きなテーマになるものと考えます。
 テレビとインターネットそれぞれの加入のあり方、料金等について。
 また、将来の地域内電話等も含めたトータルな情報サービス/料金体系など、検討が
 必要になるものと考えます。


 この株式会社ニューメディアへの加入促進、地域情報化推進に当たっては、加入率が
 高まれば高まるほど、加入料金の低下も含めてサービスの質が高まっていく事業特性
 を踏まえて、加入者増加とその際のサービス内容向上のシミュレーションを示すなど、
 加入者メリットと地域づくりへの意義を、行政と株式会社ニューメディア双方で訴え
 ていくことが重要と考えます。

 この他、株式会社ニューメディアが、地域のケーブルテレビ会社として独自のチャン
 ネル/番組を持ち、情報ネットワーク資産を持っている点を活かし、またその優位性
 を更に高める意味でも、独自番組を通じた事例紹介が有効になるものと考えます。
 地域の人々が、実際にどの様な形でインターネットを活用し、情報化による楽しさや
 メリットを味わっているのか、今後地域にとってどの様な可能性が広がるのか、身近
 な事例を示すことで分かりやすく伝え、加入意欲を喚起醸成することとなります。

 また、こうした継続的な番組紹介によって、更に情報や相談が集まってくる情報求心
 力が高まることとなり、地域の「情報ハブ」として、情報の集積力/質を高め、情報
 と情報、人と人、人と企業、企業と企業などを繋ぐコーディネイト力、総合的な情報
 ネットワーク基盤を高めていくことになるものと考えます。

 加えて、将来に向けた先進的な取り組みについても積極的に研究、推進を図っていく
 ことが重要で、
   ◇テレビ番組、インターネットホームページ双方を用いた、地域情報リテラシー
    向上プラグラムの研究、実践
   ◇地域内IP電話
   ◇地域内高速通信回線を活かした、ブロードバンドサービス、コンテンツの研究
   ◇新通信ビジネスの研究
    (福祉サービスへの応用:買い物配送サービス、電気ポットやトイレドアなど
     との接続による高齢者モニタリング等)
 などのテーマに取り組むことで、地域の情報化を推進し、情報ビジネスの裾野を広げ
 ていく方向性を示すことが重要と考えます。


 こうした取り組みにより、市各部署の諸課題、
    ・上杉鷹山生誕250年祭
    ・ベンチャーランド米沢
    ・米沢オフィス・アルカディア
    ・米沢女子短期大学の4年制大学化、山形大学工学部の機能拡充強化
    ・広域合併
 などについても、大きな進展や目的達成度の向上が図られるものと考えます。


 情報化推進の意義は、従来あった地域・業種・役職等による情報格差が大きく縮小し、
 また地域、年齢、性差、職業等を越えた多彩な交流により個々人の創造力が刺激され、
 地域の創造力/活力が高まり、地域の企業活動の面でも、趣味生活の面でも、豊かで
 有意義な暮らしが出来る様になることだと考えます。

 これにより、都会の集積から離れた地方都市においても、従来の企業活動の底上げが
 なされると共に、あらたに先進的企業が生まれてくる可能性もあります。
 趣味のサークルや地域に根ざした伝統文化、風習などの面で、地域内の、また地域を
 越えた交流が広がり、日々の暮らしが楽しくなる可能性もあります。

 従来の企業誘致による地域活性化、雇用対策も、厳しい経済状況のもとではなかなか
 誘致が進まず、また誘致後でも、しばしば企業本部の意向によりリストラ対象となる
 例も見受けられます。
 やはり地域の独自性を活かし、地元産業の活性化を図ることが本道であり、必ずしも
 ベンチャー型の大規模企業が新たに多数生まれなくても、いわゆるSOHOの裾野が
 広がったり、既存の個人企業や商店などが活力を高め、今まで外部企業に就職をして
 いた人々が、家で仕事が出来る様になるだけで大きな雇用吸収となります。
 加えて、これら企業、商店等において何名かパートやバイトも含めて雇用が生まれる
 だけで、従来の求職側が求人側に変わり、内発型の底堅い雇用基盤が築かれることと
 なります。

 地域の優秀な人材が、地域を越えてそれぞれにふさわしい場所で自己研鑽を行った後、
 郷里に戻ってその実践を行い、活き活きと多彩な形で自己実現を図る様になることで、
 地域の活力は、産業分野にとどまらず、趣味や生活、芸術などの面で総合的に高まり、
 新たな時代の新たな地域文化が形づくられていくものと考えます。


 私は、米沢・置賜地域における街興し策として、地域の政治行政を担う米沢市が隣接
 市町と共に、第3セクターの地域ケーブルテレビ会社である株式会社ニューメディア
 と連携を図りつつ、一体となって地域の情報化推進に取り組み、地域の創造力/活力
 向上を図っていくことが重要と考えます。

                                     以上


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