長根英樹 メッセージ
 ― 論文&マスメディア掲載 ― 

「胆江日日新聞」2001.11.4
  挑む 〜 IT時代を生きる
 

「胆江日日新聞」 2001.11.4 付

【挑む 〜 IT時代を生きる】
 地方からの情報発信

「活性化へ ネットクラブ結成」

 インターネットの普及
は全国、世界との情報交
換、コミュニケーション
を進展させた。経済、政
治そして個人においても
その利点は大きい。
 企業や商店はインター
ネットを活用し商品販
売、顧客獲得に動く。地
方の自治体や各種団体
は、HPを通じて大都市
圏向けのPRに力を入れ
る。
 一方で、「全国、世界
レベルの交流が盛んにな
ったのとは裏腹に、身近
な地元交流にあまり活用
されていない」という指
摘がある。コンピュータ
ーの情報網は、地域に住
む人同士も密接につなげ
ている。だが、身近な範
囲での利用はまだ活発に
なっていない。
 今年、胆江地方に住む
人たちの情報交流の場と
してHP、「水沢ネット
クラブ」を立ち上げた長
根英樹さん(35)は、イ
ンターネットを活用した
地域活性化を提案する。
 水沢高校、慶應義塾大
学理工学部を経て首都圏
でPR会社に勤務。企業
や地方自治体のPR事業
の立案、コミュニケーシ
ョン戦略の拡充に携わっ
た。
 山形県の新総合発展計
画「ゆとり都山形」の策
定に参加した際、伝統産
業「米沢織」の織元の娘
さんと出会い結婚。男性
向け和服が有名な米沢織
の魅力にも引かれ、織物
の世界に飛び込んで、現
在、米沢市に在住してい
る。水沢市の実家には、
時々帰る。
 「どうすれば和服が売
れるのか、着てもらえる
か」。大学やサラリーマン
時代に得た知識と経験を
基に、メーカー・流通・
ユーザーの連携構築を試
みる。米沢市周辺地域
で、コミュニケーション
コンサルティングの運営
や企画提案も手掛ける行
動派だ。
 そんな長根さんが気に
かけるのが「ふるさと、
水沢の活性化」。若い人材
が都会に流出する現状を
憂慮する。
 「地元に残る人が少な
いのは、自分の力を発揮
できる風土、基盤がない
からではないか。まず、
ふるさとに戻りたいとい
う雰囲気、環境を創出す
ること。それが活性化の
糸口になる」
 「とりあえずできるこ
とから」と始めたのが「水
沢ネットクラブ」だっ
た。会員登録制で、メン
バーになると、HPを空
欄記入方式で簡単に作れ
る。「パソコン講習会に
参加しても、メールを交
換したりHPを作成する
人は意外に少ない。講習
会で学んだことを生かさ
なければ」。ネットを通じ
た地域内の交流が盛んに
なることで創造力、活力
が増すとみる。
 最も重要なことは、ネ
ット上の交流と、実際に
会って触れ合う交流を「バ
ランスよく行うこと」。ネ
ット上で互いの考え、意
見を示し合い、会って語
り合う中から地域づくり
の共通認識が深まってい
くことを期待する。
 米沢市の伝統産業の新
たな販路を模索しつつ、
ふるさとの活性化を願う
長根さん。チャレンジ
は、まだ始まったばかり
だ。

【記者の目】

 情報化と地域活性化の関係を細かく分析
し、行動に移す姿は意欲にあふれている。
中央の企業に勤め、今も距離的に遠い環境
に身を置きながらも、水沢の活性化を思案
することは、郷土愛にほかならない。
 3回シリーズでIT時代を生きる何人か
を取り上げた。共通しているのは、技術革
新に対応しながらも、コミュニケーション
の「原点」である人と人との触れ合いを大
切にしている点。「機械」が管理する無味
乾燥な社会に流れることなく、人間を見つ
め直し、情報を活用して潤いのある暮らし
を築いていくことが、IT時代に課せられ
たことなのかもしれない。
             (児玉直人)


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