「パブリック・リレーションズ・センター」の目指すもの | ||
「パブリック・リレーションズ・センター」の目指すもの 1995.10 「パブリック・リレーションズ・センター」の目指すもの 長根 英樹 ■ 確かな“選択”のために 私たちの暮らす「民主政治システム」「市場経済システム」の社会は、私たち市民の “選択”によりその秩序構造が決まる仕組みとなっています。 しかしながらその重要な“選択”に際し、私たちは“選択”を行うに足る十分な情報 を得ることが出来るでしょうか。 選挙の際には、最低限の“選択”情報として「選挙公報」を得ることが出来ます。し かし、市場における“選択”に際し、すべての“選択”情報を得る仕組みはありません。 ― 最低限開示されるべき市場における“選択”情報 ― ・投資選択に際するアニュアルレポート 等 ・職業選択に際する求人・リクルート情報 等 ・購買選択に際する商品・サービス情報 等 ・背景となる企業ビジョン:哲学・理念、事業戦略、固有能力と 具現化の仕組みとしての組織・人材開発戦略 等 大政党のバックアップを受けた大物候補の主張であれ、無党派の資金に余裕のない候 補の主張であれ、同じスペースに表現された主張に、同じ容易さでアクセス出来る「選 挙公報」と同様に、広告費に余裕がなく最低限の情報発信すら出来ないベンチャー企業 の情報にでも市民のアクセスを保障する、いわば“市場広報”とでもいう仕組みがない 現在、私たち市民の“選択”は限られた範囲の中でしか行われていないことになります。 自由な競争により、より良い企業が“選択”される。そしてより広い“選択”を得る ために創意工夫が生まれ、アントレプレナー(起業家)が新しい“選択”肢を提示する。 この様々な視点からの“選択”肢に対する市民の賛同がより高いレベルでの競争を生み、 結果、社会全体としては螺旋階段を上るがごときステップアップを図ることが出来る。 このような形で市場経済本来の競争による秩序形成システムを健全に機能させるために は、“選択”を確かなものにすることが不可欠であり、このための“新たな情報アクセ スの仕組み”は、もう一方、新しい“選択”肢の提示(アントレプヌール:起業)を促 進する「規制緩和」と共に、今後、戦後50年にわたる日本の経済構造の根本的な変革 において求められるべきものと認識します。 ■ マスメディアから個人発信の可能なダイレクトメディアへ 私たちはこの“選択”情報の提示をジャーナリズムに期待しています。またメディア 側もこの機能を意識するが故、自らを社会の木鐸、第4権力(The fourth estate)と 自負すると共に、戒めとしているのでしょう。 しかし現状において、そのメディアといえども商業主義と完全に切り放して捉えるこ とは難しいのではないでしょうか。現場の記者一人一人の意識は違っても、会社から給 料をもらい、その会社はメディア・広告を売って利益を上げている営利企業であること に違いはありません。“良い報道”をすればそれに見合って利益が上がる仕組みにはなっ ていないのです。この点はセンセーショナリズム、スキャンダリズム、人権軽視等の問 題で、既に指摘されているところです。 現在のマスメディアはマス(大衆)に選ばれているメディアではなく、マスに送るこ と(流通)が可能なメディアといえるのではないでしょうか。フリーのジャーナリスト の論評、フリーアーティスト、クリエイターの作品の流通が容易でないため、流通の既 得権を確保するマスメディアとの間で真の競争は生まれません。 “マルティメディア”“情報スーパーハイウェイ”“インターネット”等のキーワー ドで語られるいわゆる高度情報化社会への流れは、全世界をも対象とする個々人の情報 受/発信が可能になるとの観点において歓迎します。 誰でもが様々な観点から主張を開示出来る環境を整えることにより、現在不十分な反 論権を保証し、活発な議論を促す。そして最終的な“選択”は市民の判断に任せる。 この様に全ての企業・組織がマスメディアを介さず直接一次情報を発信することが可 能になると、情報発信をしない、すなわち市民が“選択”を行う際に比較データのない 企業・組織は、市民からの“選択”を得ることが出来なくなります。 “北風と太陽”の例えではありませんが、マスコミが“知る権利”“社会的責任”を 盾に情報公開を迫るよりも、誰でもが情報発信出来るようにすることで真の競争原理が 働き、逆に積極的に理解を得ようとディスクローズが進むことにもなると考えます。 誰もが平等に情報・知識を得ると同時に発信する権利を有する社会。ここでは様々な レベル(地域・年齢・職業・性・民族 他)での交流・コラボレーションが生まれ、社 会全体としてのインキュベーション環境が高まり、結果として人類の文化資産の向上が 図られることになるでしょう。 ■ 「市場広報」― 市場“選択”に際する“新たな情報アクセスの仕組み”として 上記の様に企業・組織がマスメディアを介さず直接独自の一次情報を発信することが 可能になる社会を目指すべきであると考えます。 しかし一方で、誰でもが情報発信可能になった時、それが市民の確かな市場“選択” へと繋がるのでしょうか。 人は大量の“選択”肢を与えられると逆に“選択”しなくなると言われ、誰でも自由 に情報発信を行い、誰でもどこにでも自由にアクセスできるということは、情報“選択” が難しくなることに繋がります。 今後メディアには新たな役割として独自の“選択”眼の提示、セレクト情報が求めら れるでしょう。しかし同時に、“確かな市場選択”のための“新たな情報アクセスの仕 組み”として、市民がメディアの“選択”に頼らず編集前の一次情報に直接アクセスし、 容易に検索することが可能な“情報センター機能”が必要になると考えます。 私たちは、ホームページ「パブリック・リレーションズ・センター(prc)」の開設に より、“選択”に際し情報を欲する市民と、“選択”を得るために情報を開示する企業・ 組織を、容易な検索機能で繋ぎ、より確かな“選択”を可能にする「市場広報」の役割、 すなわち“選択情報センター”としての役割を果たしたいと考えております。 ■ あるべき「選択情報センター(prc)」構築のために ― コラボレーションへの協力のお願い 市民“選択”型の社会を築いていくためには、根本となる“選択”を確かなものにし なければなりません。このためには、“一次情報の網羅性”と“検索の容易性”を兼ね 備えた「選択情報センター(prc)」の機能が必要となります。 私たちは、「市民“選択”型の社会において、“選択”を得るための情報の収集・分 析、施策の立案・提示の全課程(サイクル)が Public Relatios(パブリック・ リレーションズ)である」との理念の下に、以下の3つのチャンネルで「選択情報センター (prc)」としての情報検索、“選択”のアプローチを示したいと考えております。 1「ニュースリリース」で“選択” 2「トップマネジメントのステイトメンツ(正式コメント)」で“選択” 3「企業・組織独自のホームページによる情報」(リンクセンター)で“選択” 4「PRCオリジナル情報(マスメディアの補完)」で“選択” 3は“選択”の際に基本となる第一次基礎情報であり、比較検討のために網羅性が不可 欠であることから、リンク設定に際しましては分類、フリーコメント提供等ご協力いただ きたくお願い申しあげます。 ベーシックなエントリー(市場参加)であるリンク登録(3)に関しては、なるべく障 害を少なくし多様な“選択”肢の提示を促進すべきであると捉えており、将来にわたり登 録料等の負担をお願いすることはありません。 特別チャネル(1,2)への登録によりアクセスルートを増やす場合には登録料を頂きた いと考えております。 また情報検索システムの構築(分類項目設定等)に際しては、アクセス頂いた皆さん、 登録者の皆さんのご協力をいただきつつコラボレーションにより、より良いものに進化さ せていきたいと考えております。 これはネットワークの利点であると同時に、高度情報ネットワーク時代の創生期に生き る我々の後世に対する責務なのではないかと考えております。 以上、何卒主旨にご理解を賜り、「選択情報センター(prc)」の構築にご協力いただ きたくお願い申し上げます。 ■ 次に目指すもの 誰でも情報の受・発信が可能となり、“選択肢”の開示により競争原理が機能し始め ると、選択を得るための“コンテンツ(情報内容)”が重要になります。 この“コンテンツ”の基になるのは企業実態であり、高度情報社会では企業実態とか け離れた“イメージ”により“選択”が大きく左右されることはないと考えます。 私たちは、今回の「パブリック・リレーションズ・センター」ホームページの開設に より一次情報(“選択肢”)の開示機能が稼働した後は、企業・組織実態開発、共感獲 得戦略:ビジョン構築、組織・人材開発、アクセス者と企業・組織(行政・学術研究機 関・NGO・NPO等)との間の共創(コラボレーション)システムの構築の面でPR 会社としての役割を果たしたいと考えております。 将来は「市場広報」のみならず、政治・行政の政策決定と市民をつなぐ「民主広報」 としての機能も果たし、市民とのコラボレーションによる新たな政策立案のアプローチ を模索、提案したいと考えております。 株式会社 電通PRセンター Collaborate with ◇◇◇◇◇◇ 株式会社 & △△△△△△ 株式会社 1995.10 |
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