長根英樹 メッセージ
 ― 論文&マスメディア掲載 ― 

「岩手日報」2003.12.19
  日報論壇 〜 見つめ直したい和の心
 

 郷里岩手の先人新渡戸稲造博士は約百年前、諸外国に向けたメッセージとして
英語で「武士道」を著しました。
 博士の武士道は、武士階級における処世処身訓としての狭義のそれではなく、
士農工商あまねく日本人の心に浸透していた道徳体系としての武士道精神であり、
日本の精神基盤となり、和の価値観や美意識を表現する民族の英知(エスプリ)
を伝えようとしたものと考えます。
 さて「武士道」出版から百年後に生きる私たちは、今、世界に向けてどのよう
なメッセージを発信し得るでしょうか。
 「日本国の理念、国家としての意思が問われている。日本国民の精神が試され
ている」。小泉首相は、イラクへ自衛隊を送る閣議決定に関して、このような説
明をしました。
 こうした点については同感です。まさに、世界各国は、日本の根本的な理念の
転換があるのか、あるいは最後の一線を越える転換があるのか、注視をしている
ものと考えます。
 しかしながら、日本らしい理念や精神に基づいた日本らしい役割、責務の果た
し方としての具体的な方法論という意味では、全くその方向性が違ってきます。
 これはひとえに、根本となる日本人の心、日本の理念、和の価値観に関すると
らえ方が大きく異なるためと考えます。
 「君子は和して同せず、小人は同じて和せず」。ややもすると「和」の価値観
を語る際、波風立てずに表面的に場をうまく繕うことを大人の知恵とするような
とらえ方も見受けられるところですが、本来は、上記のように「和」と「同」を
区別した上で、それぞれの立場の違いを残しつつも、より上位に共通する理念を
見いだして大きな調和を図る思想が根本になっているものと考えます。
 人は誰しも幸せになりたいと願うものですが、他者に不幸な状況があったまま
自分だけがいつまでも幸せで居続けることはできない、他者の幸福を高めること
で本当の意味での自分自身の幸福の質も高めていくことが出来る、という考えで
す。
 家族を守るために争いが起きるが、敵にも家族があり家族への思いがあること
を知り、戦いをやめ、和を求める―。これは、“お天道さま”という素朴な信仰
心、価値観とも通じるもので、大きな和の法則を「天道」ととらえることもでき
ると思います。
 武士道精神はこうした和の心が基調となっており、百年前の出版時に各国の多
くの人々の心を打ったのだと思います。
 今、この時代に生きる私たちが世界に発するべきメッセージは、こうした和の
心、武士道精神を現代に昇華したものであるべきで、イラクの自治主権の確立、
テロ、レジスタンスの根本解決に向けた大きな調和を図るための政治的コミット
こそが求められているものと考えます。


(山形県米沢市 着物プロデューサー=小沢一郎政治塾一期生・水沢市出身
 37歳)


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