長根英樹 メッセージ
 ― 論文&マスメディア掲載 ― 

「岩手日報」2017.11.09
  日報論壇 〜従来の国会質問が適切
 



岩手日報 日報論壇 平成29年11月9日

従来の国会質問が適切  長根 英樹

 国会における与野党の質
問時間の配分が問題になっ
ています。安倍総理も菅官
房長官も、議席数に応じて
配分されるのがふさわしい
との考え方です。
 本来、民意
は多様です。
今回の総選挙
においても、
全有権者の中
でどのくらい
の人から投票
を得たかという「絶対得票
率」で見るならば、第1党
の自民党でさえ全比例区で
17.49%にすぎません。(実
際の自民党の獲得議席数は
小選挙区と比例区を合わせ
て284議席で60%ほど)
 国政選挙においては▽国
会議員による投票▽過半数
で総理が選出▽内閣が構成
される―という意味で、首
班指名や内閣の運営に支障
が生じないように、民意・
得票の差をあえて増幅して
議席数にめりはりをもって
反映させるような仕組み、
制度設計になっています。
小選挙区制においては、そ
れが顕著となります。
 これは、ありのままの民
意に応じた議席配分(完全
比例制等)では、議席数が
過半数に満たない中小党に
よる連立交渉で首班指名に
時間がかかったり、いった
ん内閣が組閣されても政治
テーマごとに内閣不信任案
が通って不安定になること
などが想定されるからで
す。
 内閣・政府の行政運営に
途切れや遅延は許されず、
国家の危機(戦争に限らず
天変地異、疫病など)にお
いては議論百出で何も決め
られないことの方が独裁的
な決断よりもなお悪い結末
をもたらし得るという考え
に基づくものです。
 内閣の役割と国会の役割
・位置付けを踏まえた上で
の選挙制度・仕組みであり、
このバランスを取り国会が
国権の最高機関として適正
に運営されるために、本来
の民意に応じた配分として
野党側に厚く質問時間を取
ってきたのが従来の国会運
営となります。
 加えて、与
党側は質問時
間だけでなく
政府側答弁という形で主張
・説明が可能な仕組みにな
っています。また、新たな
常識や真理は常に少数派か
ら生まれてくるという歴史
を踏まえ、本来の民意(絶
対得票率等)でも汲まれて
いない意見にも耳に傾ける
姿勢は、先人からの蓄積を
受け継ぎ、より高めて次代
・子孫に渡していく現世代
の役割意識として重要にな
るものと考えます。
 上記の理由において、「各
会派の議席数に応じた質問
時間の配分は、国民からす
ればもっともな意見だ」と
いう菅官房長官の言は暴論
というより政治・国会のあ
り方の基本を踏まえない国
民主権をないがしろにする
ものとなります。
 自民党・公明党は、政府
与党・内閣の責任として堂
々と従来の時間配分の中で
国会において各質問に答え
るべきです。

(奥州市 和文化プロデュ
ーサー 51歳)




岩手日報 日報論壇 平成29年11月09日

従来の国会質問が適切  長根 英樹

 国会における与野党の質問時間の配分が問題になっています。
安倍総理も菅官房長官も、議席数に応じて配分されるのがふさわ
しいとの考え方です。
 本来、民意は多様です。今回の総選挙においても、全有権者の
中でどのくらいの人から投票を得たかという「絶対得票率」で見
るならば、第1党の自民党でさえ全比例区で17.49%にすぎ
ません。(実際の自民党の獲得議席数は小選挙区と比例区を合わ
せて284議席で60%ほど)
 国政選挙においては▽国会議員による投票▽過半数で総理が選
出▽内閣が構成される―という意味で、首班指名や内閣の運営に
支障が生じないように、民意・得票の差をあえて増幅して議席数
にめりはりをもって反映させるような仕組み、制度設計になって
います。小選挙区制においては、それが顕著となります。
 これは、ありのままの民意に応じた議席配分(完全比例制等)
では、議席数が過半数に満たない中小党による連立交渉で首班指
名に時間がかかったり、いったん内閣が組閣されても政治テーマ
ごとに内閣不信任案が通って不安定になることなどが想定される
からです。
 内閣・政府の行政運営に途切れや遅延は許されず、国家の危機
(戦争に限らず天変地異、疫病など)においては議論百出で何も
決められないことの方が独裁的な決断よりもなお悪い結末をもた
らし得るという考えに基づくものです。
 内閣の役割と国会の役割・位置付けを踏まえた上での選挙制度
・仕組みであり、このバランスを取り国会が国権の最高機関とし
て適正に運営されるために、本来の民意に応じた配分として野党
側に厚く質問時間を取ってきたのが従来の国会運営となります。
 加えて、与党側は質問時間だけでなく政府側答弁という形で主
張・説明が可能な仕組みになっています。また、新たな常識や真
理は常に少数派から生まれてくるという歴史を踏まえ、本来の民
意(絶対得票率等)でも汲まれていない意見にも耳に傾ける姿勢
は、先人からの蓄積を受け継ぎ、より高めて次代・子孫に渡して
いく現世代の役割意識として重要になるものと考えます。
 上記の理由において、「各会派の議席数に応じた質問時間の配
分は、国民からすればもっともな意見だ」という菅官房長官の言
は暴論というより政治・国会のあり方の基本を踏まえない国民主
権をないがしろにするものとなります。
 自民党・公明党は、政府与党・内閣の責任として堂々と従来の
時間配分の中で国会において各質問に答えるべきです。

(奥州市 和文化プロデューサー 51歳)


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