長根英樹 メッセージ
 ― 論文&マスメディア掲載 ― 

小沢党首、自由党のジレンマ-“野党政権獲得戦略”
 

小沢党首、自由党の目指す「日本一新」の大改革。

社会の制度、仕組みを根本から変える“構造改革”は
非常に重要な課題だと思いますが、それにも増して
“国民の意識改革、自立”という1人1人の心の部分
の変革こそが、「フリー、フェア、オープン」の活き
活き自己実現社会をつくる上での根本課題になるもの
と考えます。

小沢党首が総理大臣となり、自由党(中心の)政権で
制度、仕組みの改革を進めて個人の自立環境を整え、
最終的に国民の意識改革を促すという根本大改革を
進めていく道筋が理想と考えます。
しかしながら一方で、国民の側の現状を変えようと
いう意識の転換が進まないと改革政権である自由党が
選挙でマジョリティを得ることは難しく、
“政権を取って国民の意識改革を進めるのが先か、
 国民の意識変革が進み自由党が政権を得るのが先か”
というジレンマの存在が認識されます。

先の講義を通じて、現状日本の課題とその処方箋に
ついては既に明らかになっており、自由党の日本一新
政策に整理統合されていることが確認できたものと
思います。

一番の課題は、如何に政権を取って政策を実行して
行くかという点に集約されるものと考えます。

自由党は、“政権与党戦略”―政権与党になった際の
戦略は非常に明確で体系的に構築されているのですが、
“野党政権獲得戦略”―野党の立場にあり、如何に
国民の意識変革を進めマジョリティの支持の元に安定
政権を樹立して大改革政策を進めるかという戦略の面
においては、まだ研究の余地が残っているものと考え
ます。

みなさんとは、このジレンマ構造の捉え方について、
また“野党政権獲得戦略”の方向性(今夏の参議院
選挙の戦略など)について、各視点からお話が出来れ
ばと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

            ◇

“野党政権獲得戦略”の大きな柱として、
 ・国民の意識を政治に向ける
 ・国民の意識変革を促す
 ・選挙でマジョリティを得て小沢自由党政権を樹立する
という基本的な方向性は共通認識として共有できるものと思います。

さて、それでは如何に国民の意識を政治に方向付けるか。
この鍵となるのは“情報”と考えます。

1980年代から1990年代にかけ、ルーマニアのチャウセスク
政権の崩壊から、ベルリンの壁崩壊東西ドイツ統一、ソビエト連邦
の崩壊と、ドラマ以上に劇的に動く歴史を目の当たりにした訳ですが、
この動きの背景には“情報”、テレビによる東陣営側国民の意識変革、
改革欲求がベースにあったとも言われています。

そもそも東西構造変革の大きな流れを作ったソビエトゴルバチョフ
政権のペレストロイカ、グラスノスチ政策そのものが、“情報”の
影響を認識した情報解放を基礎としたものといえるかと思います。

また、究極の権力掌握策としてのクーデターをケーススタディする時、
軍部を押えると共にマスメディア(殊にテレビ)を押えることの重要
性が認識されます。

現在の日本においてメディア統制を行うことは非現実的ですが、
ITの進展により強権を用いなくてもそれに近い効果を上げる道筋が
開けてきたものと考えます。
具体的には、インターネットによる自由党チャンネル(自由党専用
テレビ)です。

各政党が一日24時間自由に放映(ネット発信)し、しかもそれを
国民が時間課金なしに見られる体制を整備するならば、民主政治に
おけるマーケットメカニズムがより健全に作用することとなり、
既存マスメディアへの大きな牽制ともなります。
既得権に胡座をかき本来の機能を果たさない守旧マスメディアに対し、
情報の競争原理を働かせることにより自己変革を促し、ジャーナリズム
の飛躍的レベルアップを図ることは、国民の意識改革に大きく寄与する
ものと考ます。

これを進める意味において、現在日本におけるIT最重要課題は、
各戸への高速回線の整備と接続料金の無料化(低価格化)であると
認識します。
日本が選択し尊重する民主政治と市場経済の体制は、いつでも
どんなやり方でも高度に機能すると言うものではなく、国民一人一人の
選択の質的向上により前進するものと捉えます。
このために選択の際の情報が最重要となります。
IT革命の本質は、講義6 電通総研福川所長が指摘する様に、
「市場情報の完全化により、民主政治、市場経済の市民選択型秩序形成
 システムが初めて理想的な形で運営され得る基盤が出来る」
という点にあり、日本一新、国民の意識改革、自立とも完全に合致する
方向であると考えます。

この意味から、私は「情報アクセスを国民の権利」と位置づけ、
高速回線による常時アクセスを保障することが重要と考えます。


また同時に、国民の情報リテラシー向上が重要となり、このサポート
が大きなテーマになると考えます。

「情報アクセスの保障」と「情報リテラシー向上」、この2つが両輪
となり国民の意識改革、努力したものが報われる活き活き自己実現社会
の実現が進むものと思っています。

ここで、情報リテラシーについて。
 1 まずは情報を受け取る力
    的確な情報の検索収集能力の他に、情報の真偽や意図的部分を
    見抜く力、情報を整理して体系化する力
    (これは現在、「メディアリテラシー」と言う言葉が一般的で、
     特にマスメディアの情報にたいする感度、分析力を高めようと
     する方向で研究が進みつつあります。)
 2 情報発信能力
    1を踏まえ、自分自身の考えや気持ちを分かりやすく伝える力
    これにはワープロ能力や、DTP、ホームページ作成能力の他、
    今回のようなコミュニティシステムにおいて、HTMLを用いて
    リンクを張ったり、画像紹介したりする力も含めて
 3 交流創造力
   1、2を踏まえて、方向性を同じくする他者と交流して
   相互刺激の中から新たなものをクリエイトしていく力
   またこれは、自由党の「新しい憲法を創る基本指針」一にある、
   個人の自由とコミュニティ(社会共同体)における義務(コミット
   メント)の関係と言う意味でも重要な能力(わきまえ)になるとv
   思います。


私は、「ネットアクセスの保障」と「情報リテラシー向上(サポート)」
を自由党のIT政策の柱、“野党政権獲得戦略”の大きな柱にすべきと
考えています。
具体的には、
 ・モバイル端末の無料配布ではなく、光ケーブルの無料化(保障)
 ・小学(1年生)、4年生、中学1年生(3年毎)にノート
  パソコンを教科書同様に無料配布して学校で情報教育を行う。
 ・これには現在の先生だけでなく、ビジネスマン出身者などを
  新たに雇用/委嘱する。
 ・生徒へのノートパソコン配布は、家庭に持ち帰っての世帯配布と
  同様の意味合いを持ち、父母(大人)の意識変革にも繋がる。
 ・夫婦2人の家庭との差別化になるが、育児サポートの意味合いも
  あるので、家庭(親子)の関係をあらためて見直す意味から
  子供のいる夫婦を優遇する。
 ・この情報リテラシー教育は、学校(学生)のみならず、
  地域においても大人、再就職希望者などに対して行う。
以上の様な施策を考えており、これにより
 ・情報の基礎能力を持ったビジネスマンの再配分に活かす。
  (私は岩手の水沢市=地方都市=出身ですが、なかなか地元に
   帰って出来る様な職が見つかりません。
   しかし、地元でこの様な形で教育に関われるならば、
   都会で基本スキルを学んだ人のUターンを促進することにも
   繋がると思います。)
 ・規制緩和で大きく産業構造の転換、人材のリプレイスが
  必要になりますが、初期の緩和材(職業を創る)意味からも
  情報教育分野は大きな吸収力持つことになる。
 ・地域のテレビ民放局、ケーブルテレビ局や、情報企業などの
  参画もあり得る。
 ・地域の情報産業の底辺、意義、雇用者数が広がる。
など波及も考えています。


IT革命の本質。
それは決して「便利」ではなく、
(便利も大きく社会を変え得るが、便利さで民主政治がうまく機能したり、
 市場経済がうまく機能したりと言うことはない。)
「情報の民主化」「情報の自由化」「情報に競争原理が働く環境」
にこそあり、この様にIT革命(インターネット情報革命)を捉える
ならば、民主政治や市場経済等の「市民選択型秩序形成システム」が
大きく変容し、新たな次元に飛躍する可能性を見いだせるものと思います。

自由党が国民の意識改革のために政治的選択情報を、より豊富に、
より分かりやすく伝え、尚かつ双方向のコミュニケーションを通じて
理解共感を深め、更に内容を高度に充実させていくためには党本部の
コミュニケーション体制強化が重要になるものと考えます。

                         2001.1.20


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