座繰引き(ざぐりびき)による野蚕糸(やさんし)を使った、底光りのする光沢と節(ネップ)が魅力の洒落紬お対(疋もの)。
野蚕:野生種の蚕(屋外飼育)−がつくった繭、玉繭(※)を、
「座繰(ざぐり)手法」:繭を鍋で煮て、ほぐれてきた所を数個分まとめ
手引きによって糸取りをする方法−
によって引かれた「野蚕座繰糸(やさんざぐりいと)」を経緯(たてよこ)に
用いた味わいある地風の変わり紬です。
野生種ならではの素朴(太さの不均一)な糸が織りなす底光りの
する光沢が特徴の洒落紬です。
座繰糸はその手間からなかなか入手困難ですが、次代に伝えていきたい
味わいのある素材です。
※玉繭(たままゆ)
2匹(まれにそれ以上)の蚕が一緒になって作った大きな繭。
糸が複雑に絡み合っているため機械で糸引する事ができず、
座繰手法によって紡がれ、この糸を玉糸(たまいと)という。
糸の絡み具合により節が出来るが、それ以外の部分は1本の
長繊維の糸であるため、繭をフェルト状にした真綿(まわた)
から紡ぐ真綿紬糸(まわたつむぎいと)の素朴さとは違った
メリハリのある光沢が特徴の紬となる。
袷/単衣。疋もの。