長根英樹 ネットクラブ
皇位継承と和の心
― 万世一系と君民共治 ―
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No.16 週刊朝日の紀宮殿下ご成婚祝福企画コメントについて 長根 英樹 さん 
    2005.11.15 18:53:48 返信

 
本日発売の週刊朝日 2005.11.25号、紀宮殿下のご成婚を祝福する企画
『美智子さまからサーヤに伝わる「装いの心」』において、私のコメン
トが掲載されました。
(こちら米沢では、雑誌は通常発売日の翌日にならないと駅売店、書店
 の店頭には並びませんので、まだ実際の誌面を確認していない状況で
 す。)

誌面をご覧になった方から、「女性天皇」「女系天皇」「帝王学」等に
関しまして質問をいただきました。
週刊朝日記者に対する取材対応(メール)をご紹介することで、私の立
場を説明したいと思います。

11.15 発売(首都圏駅売り等では11.14 発売)の記事に関して、11.10
午後に取材依頼を受け、夕方に返信したメールです。
(当初の依頼は、紀宮殿下がお召しのきものに関する解説、コメントを
 求めるものでした。)

                ◇

――― 以下 11.10(木)18時過ぎ発送のメール ――――――――

 この度は取材の件でお声掛けをいただきまして有り難うございます。

 私でお役に立てる面があればご協力をさせていただきたいと考えて
 おりますが、正直、今回の企画については的確な(ご期待に添える様な)
 コメントが出来るか不安に思っております。

 皇位継承の問題そのもの、あるいは和装においても男のきものスタイル
 と言うことでしたら、ある程度のお話が出来ようかと思いますが、
 女性のきものについては造詣が深くなく、特に皇室の女性方(紀宮殿下)
 の装いに関しては、継続的にウォッチしてきた蓄積もなく、難しいと
 思っております。

 私が紀宮殿下に関してコメントと申しますか、記事化前の打ち合わせと
 いう意味で個人的な想いをお話しさせていただくとすれば、以下の様な
 形になります。


1 婚約記者会見時の装いについて
  私は紀宮殿下の装いを継続的にウォッチはしておりませんが、一つ
  昨年末の婚約発表記者会見時の装いは、非常に印象深く拝見いたし
  ました。

  スタイル的には洋装、スーツスタイルでしたが、使用生地がおそらく
  きもの地(いわゆる反物)であったと思います。
  そして、きもの地の中でも「染めのきもの」「織りの着物」で分け
  ますと私が得意にしておりますところの「織りの着物」「織物」で
  あったろうと拝見いたしました。

  淡いグリーン基調に様々な色が入った織物で、一見してすぐにそれ
  (ブランドや由来等)と分かるようなお召しもの、装いでないかと
  思いますが、きもの地と分からないまでも和の雰囲気を感じて
  やわらかな美しさを見出した人も多かったのではないかと思います。
  奥ゆかしい紀宮殿下らしい素晴らしい装いと拝見しました。
  
  私のきものHPで紹介しております「虹色真綿紬(にじいろまわたつむぎ)」
  と同種の織物かと思います。
http://www.kimono.gr.jp/mens/salon/24_index_msg.html


  私は、「きもの、和装を通じた和の心の温故知新」ということで、
  「衣育」や「スロークロージング」といった提案をしておりますが、
  「和装」「和の心を込めた装い」をきものやいわゆる和服といった
  せまい範囲で考えるのではなく、幅広く捉えております。

  皇后陛下の装いはまさにそうした代表でありまして、告期の儀などでも
  お召しのドレスは「ぼかし」を表現した和装(的な)織物と拝見して
  おります。
  ドレスコードの関係で和装、きもので装えない様な場合においても、
  常に日本の文化、歴史を、まさに“象徴”されるお立場として、
  「和のエッセンス」「和のエスプリ」を採り入れた装いをなさって
  おり、衣服装いを通じたコミュニケーション(服装リテラシー)と
  いう観点から、素晴らしい装い哲学に感服しておった次第です。

  上記、婚約記者会見時の紀宮殿下の装いもまさにそうしたものであり、
  皇后陛下のお考え、スタイルを、まさに受け継いだ、日本のプリンセス
  としての象徴的な装いであったと思っております。



2 紀宮殿下と「帝王学」について
  昨今の皇室典範改変の動き、有識者会議の議論において、「帝王学」
  が一つのキーワードになっている面がある様に思います。
  しかし、紀宮殿下のお姿、今までのご姿勢を拝見いたしますと、
  (歌会でのお歌、記者会見等での受け応え、文書等)
  “有識者会議のいう帝王学”の浅薄さ、無意味さが明らかになる様に
  思います。

  有識者会議では、帝王学を、「○歳から始めないと間に合わない」とか、
  何か塾や教室の習い事、カリキュラム的なものと捉えている様な節を
  感じますが、親王であろうと内親王であろうと、皇位継承権があろうと
  無かろうと、非常に限られた皇族(天皇家)の一員であることに違いは
  なく、常にその言動を注目され、日本の象徴たらんことを求められる
  お立場に変わりはありません。
  生まれたときから、「お父様、お母様」と呼ばせるか、「パパ、ママ」
  と呼ばせるかというところから皇族(天皇家)としての教育は始まり、
  特別なカリキュラム的なものよりも、日々の実践、ご両親(陛下、殿下)
  やご親族(皇族方)との生活、行動を通じて、まさに親の背中を見る
  形で身に付けられる教育こそがまず一義で大事になるものと思います。

  こういう認識こそが大事で、両陛下、紀宮殿下は、まさにそうした
  心構えの下に過ごされてきたものと思います。

  先の皇后陛下の誕生日会見(文書)におきましても、眞子内親王殿下の
  両陛下との日常的な行動を通じての(夏休みの一緒のお出かけ)心の
  あり方の伝授について紹介がありましたが、(皇后陛下と秋篠宮妃殿下、
  眞子内親王殿下、佳子内親王殿下による蚕の世話などの実地学習等も
  含めて)これこそがまさに両陛下、皇室の考える「帝王学」「皇族教育」
  のあり方であると思った次第です。

  紀宮殿下はこうした日々の実地による教育を、両陛下の身近で一番長く
  (皇太子殿下や秋篠宮殿下よりも長く)受けてこられ、まさに両陛下の
  エスプリを体全てで吸収して来られた方であり、「The 帝王学」「Miss
  帝王学」と言うか、両陛下の帝王学を体現した方と言えるのではないかと
  思います。

  私は、皇室典範の精神を踏まえ、女性の即位は考えない立場ですが、
  もし仮に、女性としての即位(女性天皇)があるとするならば、まさに
  紀宮殿下の様な方こそがその役割に相応しい、ロールモデルになる様な
  方であると思います。

  皇室と国民とのリレーション、関係づくりは、両陛下のもと各宮家も含めた
  総合的な取り組みによってなされるものと思います。
  特に現在は、宮家が減少する中、役割を担う皇族方が少なくなっている
  現状があり、尚かつ皇室と国民との関係の再構築(精神文化面の繋がりの
  確認)が必要な時期と考えますので、紀宮殿下の降嫁は非常に残念で
  もったいなく思います。
  
  本来であれば、皇室典範の改正を考えるのであれば、女性宮家とまで
  行かなくとも、紀宮殿下が、黒田清子でありつつ紀宮殿下の役割を担える
  様な工夫についてこそ早い段階で考慮されるべきであったのではなかろうか
  と思う次第です。
  (例えば、皇統からの除籍を後にのばす、など)
  


 以上の様な材料の中で、果たして記事化が可能なものか。
 ご判断いただければと思います。

 また、今回の祝福企画に限らず、皇位継承問題で是非ともご一緒をさせて
 いただきたく思っております。

 今後ともよろしくお願いいたします。


――― 以上 11.10(木)18時過ぎ発送のメール ――――――――
(一部抜粋)

                ◇

上記の取材対応(メール)でご理解いただけるものと思いますが、私は
明治以来の皇室典範の精神を尊重し、女性の天皇即位(「女性天皇」
「女系天皇」)は考えない立場です。

紀宮殿下の帝王学については、「女性・女系天皇」を前提としたもので
はなく、有識者会議の言う「帝王学」(早く始めなければ間に合わなく
なる云々)に対して、これを否定する立場から述べたものであります。


※今回の記事を通じて、あらためて皇族方に対する敬称の乱れについて
 実感した次第です。
 鍵括弧で囲まれた私のコメント部分に関しては、全て陛下、殿下の敬
 称を用いて表現してもらいましたが、編集部がまとめた形になってい
 る「地の文」に関しては、なるべく過剰な敬語は使わないという社内
 規定に準じた表現になっているとのことです。
 (「陛下」「殿下」の敬称表現が「さま」に比べて字数を要する訳
  でもなく、特別過剰な表現とも思いませんし、ましてや皇后陛下
  を「皇后さま」と表現するでもなく「美智子さま」などと御名前
  をそのまま用いることは、非常におかしなマスコミ習慣だと思い
  ます。
  皇室と国民との関係性の再構築という意味では、こうした面での
  検討、再考も重要になってくると感じるところです。)

                ◇

本日の、結婚式、披露宴の様子、テレビで拝見しておりました。
本日のウェディングドレスも、素材(絹の織物)の素晴らしさを存分に
活かした、デザイン、テクニックで主張しようとはしない、ご自身の姿
勢(生き方)そのものを身に纏われた装いであり、和の心を感じた次第
です。

黒田さんの所作からは実直なお人柄がにじみ出ているように感じました。
まさにお似合いのご夫婦。
末永くお幸せに過ごされます様お祈り申し上げます。

   


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   :2005年10月 7日   更 :2005年10月 7日