地域ネットコミュニティを活用した地域の活性化(街興し) | ||
【参考1 リンク】参加型地域ネットコミュニティのプロトタイプ 「米沢・置賜コミュニティ」 http://yonezawa.kimono.gr.jp/ 【参考2 リンク】小沢一郎政治塾3月・4月課題「私の街興し」 2001.04.25 「米沢・置賜地域における情報化推進策 ―地域創造力&活力向上を目指して」 http://nagane.kimono.gr.jp/hideki/messages/12_title_msg.html 【参考3 全文】山形県情報化推進協議会ML投稿メッセージ 2001.07.28 「地域における情報化推進の意義+α」 はじめまして。 米沢市にて、きものネットコミュニティの主宰、コミュニケーション コンサルティングをしております長根英樹です。 現在、各地において「IT講習会」が開催されていますが、 受講を終えた方々に話を聞いてみると、 「一通りの操作は分かるようになったが、まわりにネット仲間も 少なく、ネットの楽しさが今ひとつ実感出来ない。」 といった話しも耳にします。 こうした状況も踏まえ、あらためて地域における情報化推進の意義、 何のために、どういう状況を目指して行うのかという部分を整理すると、 具体的な施策やサイトのイメージが見えてくるのではないかと考えます。 ◇ 1. 「地域における交流促進、繋がりを広げるために」 地域の人々の繋がりという面で捉えると、 ・核家族化 ・農作業など地域における共同作業の機会減少 ・今や1人に1台という程の車の普及により活動圏自体が広がったこと などから、都会に限らず、地方においても地域コミュニティ(地域交流)は その機能を弱めつつある状況と思います。 身近なコミュニティにおいて、人々の繋がりが緊密で交流が盛んだと、 自然な互助システムが機能し、協力がスムーズに行われたり、趣味や興味を 通じて仲間が出来たり、新たな創造(起業、文化など)が興ったりと、 各人の個性が活かされる形で、生活、趣味、ビジネス、文化等各面での 豊かさが高まります。 本来、地域コミュニティは、地域内の人々による様々なコラボレーションを 産み出す、インキュベーター(孵化器)の役割をもっているものと考えます。 (現在各地で見られる、「地域通貨/エコマネー」の導入等の模索も、 この地域コミュニティの再構築を目指す動きと見受けられます。) インターネットは、国境を越えたコミュニケーション、交流の広がりを 持つワールドワイドなネットワークですが、同時にごく身近な地域を繋ぐ ローカルなネットワークでもあります。 しかし、現状では、ビジネスや全国レベルの趣味・専門の交流の場が盛んな 状況とは裏腹に、地域に根ざした身近な地元交流については、交流を楽しさに 繋げてそこから新たなものを生み出していく魅力的な場として、十分な開発が なされていない状況にある様に思います。 地域における情報化推進の一つの意義としては、地域における交流を活発化 させ、あらたな人々の繋がりを産みだし、広げていくという役割が考えられる ものと思います。 2. 「地域交流を豊かさに発展させるコラボレーション促進のために」 地域における、あるいは地域をテーマとした(地域外の人々も含めた)交流、 繋がりが広がり盛んになると、様々な視点から地域/人が語られ、元来地域に あった蓄積や個々人のポテンシャリティが再発見されることになります。 こうした地域固有の資産をベースに、交流の相互刺激の中から、新たな仲間や、 サークル活動、生活風習、ビジネス、地域文化等が生み出されていく 地域コラボレーションを促進していくことが、地域の活力、創造力を高め 豊かな地域生活を築いていく基礎になるものと考えます。 地域の交流を広げ、新たな価値の創造、地域コラボレーションを促進していく 役割。 これも地域情報化推進の意義と考えます。 3. 「地域コラボレーションの基礎となる個々人の情報活用力(情報リテラシー) 向上のために」 地域の交流を広げ、コラボレーションにより新たな創造を行っていくためには、 その交流の主役となる地域住民の情報活用力(情報リテラシー)の向上が 不可欠となります。 情報活用力(情報リテラシー)をもう少し詳しく捉えると、 「情報をうまく収集咀嚼し、情報を的確に発信し、また相互のコミュニケー ションを通じて情報価値を高め、創造を行っていく能力」 *情報を受け取る力 ・情報機器の基本的な操作能力。 ・情報の的確な検索収集能力の他に、情報の真偽や意図的な誘導表現を 見抜く力(メディアリテラシー)。 ・情報を分析整理して体系化する力。 *情報を発信する力 ・自分自身の考えや気持ちを分かりやすく伝える力。 ・双方向テレビやホームページを通じてプレゼントに応募したり、 意見を投稿したりする能力。 ・電子メールでコミュニケーションをする能力。 ・ワープロを使い文書としてまとめる能力。 ・ホームページを作り情報発信をする能力。 ・これらを効果的に行うため、文字情報の他に画像や音声等を用いて 表現する基礎的な能力など。 *情報の受発信を通じて他者と交流し創造する力 ・先の能力を踏まえて、他者と交流して相互刺激の中から共感を深め、 新たなものを創造していく力。 ・他者や集団でのコミュニケーションにおいて、いかに関係づくりを 行うか。 思いやりや心くばり、個人の自由とコミュニティ内での義務制限の バランスを心得て交流する能力。 ・こうした交流を通じて、価値を創造する能力。 以上の様に整理することが出来るのではないかと思います。 地域個々人の情報活用力(情報リテラシー)を高めていくこと、 これも地域情報化推進の大きな意義と考えます。 ◇ 上記、1. 2. 3. の地域情報化推進の意義を踏まえて、これに対応した情報施策、 地域サイトを考えると、一つの方向として「地域ネットコミュニティ」という アプローチが出てくるかと思います。 「ネットコミュニティ」には既に様々なタイプがありますが、上記1. 2. 3. を 踏まえた地域ネットコミュニティとしては、以下の要件が求められるのでは ないかと考えます。(順不同) a. 参加メンバーの顔(個性)が分かる様な工夫 b. 気軽に1対1のコミュニケーションが出来る様な工夫 c. 1対1のコミュニケーションが全体交流に発展する様な工夫 d. それぞれの興味に応じてメンバー全体でもコミュニケーションが図られる 様な工夫 e. ネット初心者が操作(コミュニケート)しやすい様な工夫 f. スキルに応じて高度なコミュニケーション(表現)が可能となる様な工夫 g. メンバーの基礎的な情報発信(簡易ホームページの作成&更新)を サポートする様な工夫 h. 他メンバーへの“なりすまし”や無責任発言により全体の雰囲気が 損なわれない様な工夫(登録制) i. 地域住民、地域に関心を持つ人(地域外住民)が参加できること こうした市民参加型の地域コミュニティが出来れば、日々の気軽な会話の 中から、様々な視点や考え、提案が蓄積され、そこから新たなものが 産み出され(コンテンツの自動的な共同生成が行われ)、コラボレーション により、地域の活力が高まっていくものと考えます。 冒頭のIT講習会受講者の話に戻って、一通りのパソコン操作が出来る様に なった人々が、地元の仲間と身近な地域の会話を楽しみながら、ネットに よる情報収集、情報発信(自己表現)、(オフ会等も含め)交流の楽しさを 実感しつつ、自ら地域の情報提供者となり、また新たな創造に関与していく ことになれば素晴らしいことであり、こうした受け皿となる地域コミュニティ の構築が今後重要になってくるものと思います。 ◇ 具体的に、上記の工夫を踏まえて構築した地域ネットコミュニティの プロトタイプをご紹介いたします。 「米沢・置賜コミュニティ」 http://yonezawa.kimono.gr.jp/ ID :99 パスワード:guest でゲストモード体験アクセスが可能です。 こちらはまだ立ち上げたばかりで、プレオープンの状態ですが、 きものコミュニティの方では数年の実運営を経ている仕組みです。 ◇ 現在、山形県情報化推進協議会における日々のネットコミュニケーション をメーリングリストによって行っている状況ですが、「電子メール」という “メディア特性”を考えると、ある種の「押しつけがましさ」がある点は どうしてもぬぐい切れないものと思います。 (電子メールの押しつけがましさとは、 ・内容のいかんにかかわらず個人のメールボックスリソースを占有する点 ・興味のない内容でも途中で受信を止めることが出来ずに、全文を受信 してしまわなければならない点 ・電話や郵便と違い、受信に際して受信者側にもコストが発生する点 などの特徴を指しています。 ※今回の私の長文メールもそうしたものになるかも知れません。) 協議会で「市民参加型の地域情報サイト」について研究模索するのと 同様に、協議会自体のコミュニケーションにおいても、よりスムーズに 議論を深めていく仕組みについて工夫をしていくことは有意義なものと 思います。 例えば、単純なメーリングリストではなく、ウェブと連動した仕組みで、 1通毎にメールを受け取るか、メールでは受け取らずにウェブに見に行く 様にするかを選択出来る工夫があると、メンバー各人のネットスタイルに 応じて参加が促進され、スムーズにコミュニケーションが広がるものと 思います。 返信メールにおける「引用」についても、ウェブで親メールの確認が 容易になると「引用」の必要性が薄れ、スッキリとした論点中心の 中身の濃い議論が出来るものと思います。 (「eグループ」など http://www.egroups.co.jp/ ) あるいは、「協議会メンバー参加型の議論・交流を活発化するサイト」 についての研究工夫も大事になってくるのではないかと思います。 (これ自体も一つのプロジェクトになるのではないかとも思います。) ◇ ずいぶんと長くなってしまいましたが、私は、地域住民の情報活用力 (情報リテラシー)を高め、交流を促進し、様々なコラボレーションを 生み出していく方向で地域の活力を高めていければ素晴らしいと思って います。 また、その仕組みとして、市民参加型の「地域ネットコミュニティ」が 有効になるものと考えています。 こうした視点で、方向を同じくするみなさんと議論、交流、コラボ レーションを進めていければ幸いに存じます。 よろしくお願いいたします。 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 +α その後の議論を踏まえて 〓〓〓〓〓〓〓〓 その後、地域ポータルの意味合い、まちづくりとの連動等についての みなさんの議論を拝見いたしますと、“市民参加型”というのが 一つの大きなテーマ(共通認識)になるものと思います。 次のステップとしては、市民参加の“あり方”について、どういう 参加の仕方がよいのか、またその仕組みはどうか、という部分が 重要になってくる様に思います。 “市民参加型のコンテンツづくり”という方向性において、一つケア しなければならない視点として、“目に見えるまとまったコンテンツ” を性急に求めない、過度に重要視しないという点がある様に思います。 これは、一見矛盾する考えの様にも見えるかと思いますが、 市民の視点、参加する立場では、コンテンツをつくること(=例えば、 市民一人ひとりが自分のホームページをつくること)が第一義では 参加のモチベーションは高まらないものと思います。 目に見えるコンテンツよりも、まず先に、市民同士の愉快な交流、 新たな発見や仲間づくり等を優先させ、そこから新たな動きという形で 地域の活性化やまちづくりの“実体”を高めていくことが重要だと 考えます。 この交流実体、ムーブメントの実体があってこそ、(あるいは実体の 再認識があってこそ)まとまったコンテンツが編集されてくるものと思います。 最初から個人ホームページ作りを誘導するよりも、地元仲間同士の会話、 交流の楽しさ、新たな仲間の広がりを提供し、これをより良く、自分らしく 進めていくための手段(自己表現手法)として個人ホームページづくりを サポートするという視点が、長期的には幅広く、より深い情報発信/ コンテンツづくりに繋がって行くものと考えます。 私は、市民参加型の情報化推進の基礎は、地域住民同士が楽しみながら コミュニケーション、交流が出来る環境を提案して、その交流の中から 各種のコラボレーションにより地域の活力、実体を高めていくことに あると考えます。 また、こうした基礎的な仕組みが一通り整備された後、地域の情報化に おいて重要となるのは、情報システムの技術的な役割よりは、 こうした市民交流を促進し、実際のコラボレーションに繋げていくための “情報コーディネイター”の役割になってくものと思います。 一人ひとりの個性や強みを理解し、それを活かす個人やサークル、企業等 とうまくコーディネイト、マッチングさせていくサポート役、ナビゲーター の役割は、必ずしも技術力とは連動せずに、むしろジャーナリスティックな 視点も重要になってくるものと思います。 地域を愛し、地域を理解して、地域に愛着を持った人材を、人と人、人と技、 人と文化を繋ぐコーディネイターの役割として育てていくこと、育てていく 仕組みも重要になってくるものと考えます。 長文となりました。失礼いたします。 ------------------------------------------- 長 根 英 樹 NAGANE HIDEKI nagane@kimono.gr.jp 米沢・置賜コミュニティ http://yonezawa.kimono.gr.jp/ きもの村 http://www.kimono.gr.jp/ ------------------------------------------- |
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