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先週末から週明けにかけて、旧皇族の方からの伝統尊重を旨とする
意見表明や政治家の発言、集会等、続々と動きが出てきました。
政府、有識者会議もいよいよ、従来の伝統的な「系統継承」から
「直系継承長子優先」(女性・女系天皇容認、長子優先)への転換
を結論とし、今週24日、最終報告書を提出する運びとのこと。
この「有識者会議」はあくまで首相の“私的”な諮問機関であり、
この最終報告書をどう判断するかも含めて、各政治家の判断に委ね
られることになります。
しかしながら、私的な諮問機関とはいえ、首相官邸を議場に、公金
を用いて会議を進めている状況、及びそのテーマの重要性(国の根
幹に関わる超重要課題である皇位継承の問題)を踏まえ、責任感を
持った議論がなされるべきであったと思います。
ところが、驚くべきことに、この期に及んで有識者会議の座長から
以下の発言がなされたとのこと。
・「男系男子(の伝統維持)を主張される方がいるが、我々は
歴史観や国家観で制度をつくったわけではない」
・「制度の分かりやすさや安定性」(をあくまで重視した)
・「歴史観は国会で議論すべき問題だ」
皇位継承に関わって皇室典範を議論するのに、歴史観や国家観を踏
まえずして何の議論が出来るというのか。
歴史観や国家観を踏まえずして、どうして「分かりやす」くて「安
定」した制度と言えるのか。
歴史観や国家観を踏まえない案であるならば、国会で議論する価値
のある案と言えるのか。(たたき台にさえならない)
また、兄弟姉妹間での男子優先か長子優先かに関して、いみじくも、
・「そもそも女性や女系の皇位継承を認める以上、直系の兄弟
姉妹の間で男子を優先させる理由が乏しい」
との発言があったとのこと。
これは、すぐ次の段階の議論として、
・「そもそも歴史観や国家観を踏まえず、伝統から逸脱した形で
皇位にある以上、はたして従来同様に『天皇』と呼べるもの
なのか否か、日本においてそうした直系優先の世襲王家を存
続させる理由が乏しい」
との形で、容易に皇室不要論に繋がっていく論法になるものと思い
ます。
まさしくこれは、先の寛仁親王殿下のご意見、
・「国民一人一人が、… 歴史と伝統に対してきちんと意見を
持ち発言をして戴かなければ、日本国という、『国体』の
変更に向かうことになりますし、いつの日か、『天皇』は
いらないという議論に迄発展するでしょう」
におけるご懸念通りの展開といえるものと思います。
◇
私は、当初から有識者会議のあり方に対して
>不見識という感想を通り越して破廉恥な態度
と、その姿勢に厳しい視線を送ってきました。
人生の大先輩となる方々ですが、あえて今一度同じ言葉で評したい
と思います。
“私的”な諮問機関(有識者会議)からあらためて言われるまでも
なく、歴史観や国家観を踏まえて皇位継承のあり方、天皇のあり方、
和の国、和の心、天皇陛下と日本について、文化的、精神的な観点
から議論をすることは、政治家、国会議員の役割であります。
今こそ、国民を代表する立場として、先祖先人と未来の子孫に対す
る責任感に基づいた真摯な議論を繰り広げて行くべきと考えます。
【参考リンク】
■ 皇位継承「女系容認」「第一子優先」、舞台は政治の場に<日経新聞>
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20051122AT1E2101C21112005.html
■ 皇位継承、長子優先 内親王は宮家創設へ 有識者会議、
24日最終報告<産経新聞>
http://www.sankei.co.jp/news/051122/morning/22iti003.htm |
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