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雅さん、熱心な投稿有り難うございます。
現在、伝統を重視しようとする男系派の議論においても、
「女性天皇(敬宮殿下即位)は○、女系天皇は×」
「男系維持=旧皇族の皇籍復帰」(敬宮殿下の皇配になど)
といった固定的な構図になっている点、私も懸念を持っています。
現在の法体系、天皇と国民と政府との関係性にゆがみがある点、
今回の議論で明らかになったものと思います。
(例えば、戦前は国会で皇室典範の改正を行うことは出来ません
でした。
また、論文では天皇陛下とシビリアンコントロールという観点
から論じています。
あらためて論文を読み直しいただきたく。
■ 和の国、和の心 ― 天皇陛下と日本 2005.02.18
http://nagane.kimono.gr.jp/hideki/messages/27_title_msg.html)
しかしながら、いわゆる「民営化」というか、「法人化」という
立場には私は立ちません。
もし、仮に、先の有識者会議の最終報告に沿った形で皇室典範の
改正が行われたとして、皇室がそうしたあり方を不正常と考え、
法制上の「天皇」という立場を離れたとします。
そうした際、その先にあるのは、現行制度の枠組みの中での「法
人化」などではなく、政府が政府として機能し得るのか、徴税権
が機能するのか(現政府にではなく、天皇の側への納税など)と
いった問題に発展するものと考えます。
内戦やクーデターといった形とは別に、現行制度の枠内で、世論
の高まりによって内閣は総辞職を余儀なくされ、国会も解散に追
い込まれていくものと考えます。
そこで、「尊皇新党」の様な大きな動きが起こり、新たな内閣、
政治体制において、皇室典範の再改訂(元に戻すこと)や法制の
整備を行い、実質的な意味での大政奉還と新政府樹立、天皇陛下
からの政体承認という流れに向くものと考えております。
◇
私は政治を志す立場で、政治の役割を非常に重く認識しています。
この点が雅さんと大きく異なっているように思います。
現在の政治家、国会議員を評価して任せるという意味ではなく、
本来、国のあり方と天皇、皇室の関係性、まさしく天皇陛下と日
本について国民に語りかけ、説明し、高度な形でいわゆる立憲君
主制を再構築することが政治の役割であり、責任であると考えて
います。
◇
朝日新聞の全国世論調査について。
私は失望よりも希望というか、少々の安心を感じました。
それは、17%の男系維持派の中で、半数近く(49%)が男系
男子で、男系女子の女性天皇容認が42%にとどまった点です。
ネットの言論等を見ていますと、いわゆる男系派でも大半が
「女性天皇(敬宮殿下即位)は○、女系天皇は×」
の立場をとっている様に見受けますが、
(男系派の有力なオピニオンも最近のテレビで同様の発言を
している様です。)
実際に伝統を尊重し男系継承(系統継承)の意味を理解している
人は、単に過去に例があったというだけで女性天皇を容認するの
ではなく、過去の伝統を踏まえた上で男系男子という規定になっ
た先人の議論や蓄積を大切に考えている様子が分かりました。
今後の議論次第で、こうした理解はもっと広がって行くものと考
えます。
◇
No.23 でも書いていますが、有識者会議から最終報告書が出て、
今は政治の場へと議論の舞台が移った段階です。
のんきに構えるわけではありませんが、日々の動きに一喜一憂
することなく、伝統の意味、文化的な価値について、なぜこんな
にも長く皇室が続いたのか、男系継承を続けてきた意味は何だっ
たのか、「直系継承」と「系統継承」の違い、という本質の議論
を深めていくことが重要と考えます。 |
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